木之庄企畫では4月11日から5月16日まで堀越達人の個展を開催いたします。
堀越達人は85年生まれ、東京を中心に精力的に活動しています。「エリザベス・ペイトンがロックスターや映画俳優を描いた様に、自分もカッコイイと思う、憧れの対象を描いている。ただし想像で。」と語るように、人物たちに特定のモデルはいません。薄くぼかされた淡い色調、細かい描写を拒否した表現からは、抽象的な要素が感じられ、そこに描かれる“どこかのだれか”は鑑賞者に様々な感情を引き起こします。
ポートレートに描かれる人物たちは、平面的で線的、可愛くてキャッチーです。彼の世代が当たり前のように触れてきたアニメーションやマンガの影響を感じつつも、ただそういった表現とは一定の距離を保っています。モチーフの選択方法や抽象性を感じる絵画空間、ノスタルジーへの憧憬などからは、本人も言及している通り寧ろピーター・ドイグ等ニュー・フィギュラティブの作家と共通点があり、昨今多く見られるようになったアニメ的絵画や、村上隆の延長上の活動をしている作家とは若干違う仕事をしていると言えるでしょう。
ネット世界の拡張により、メディアアートなど新しい表現がどんどん生まれていく現代。そんな中でポートレート絵画という決して新しくはない表現方法で作品を作る彼ですが、今回の展示ではポートレートの持つ普遍性・絵画のメジャー性を改めて感じることができるでしょう。
堀越の特徴とも言えるどこか冷めた表情をした人物のペインティングを中心に、春らしい植物のモチーフが多用された作品を発表いたします。ぜひご高覧ください。