H.K 個展「Container of the Ghost」

木之庄企畫では 7 月 4 日から 7 月 31 日までH.Kの個展「Container of the Ghost」を開催いたします。

H.Kにとって、魂は身体の中にあると言うより、身体に張り付いているような感覚であり、ちょっとしたことで抜け落ちてしまいそうな感覚である。まるで人間という形をした器のように、魂が不安定な感覚になり、意識の存在が混乱や疑問になる。彼は絵を描く行為を通して、彼自身の意識を身体に実感させていくのである。

作品は結果として、その思考や疑問で混沌とした彼の意識が剥がれ落ちないようにもがいた結果としてもの「塊」のようなものとも言えるのだろう。「私はその剥がれ落ちそうな感覚を表現することで、生きる実感を感じることが出来ると考えている。」と、彼が語るように、今回の展示は、今まで彼が描いてきた「人の身体に張り付いている魂、器としての身体」というテーマに加え、花を構成し描いているのである。

H.Kによると、花と人の構成はより風景画のような感覚が得られることが出来ると感じるという。人物を風景化することで人を特定せず、漠然とした形として表現出来る。そして日本の絵画の特徴である独特の間と空間による構成が、より生と死の間の張り付いた魂を表現出来るのである。花は時間の経過を感じることが出来、生者と死者のどちらにも手向ける存在であり、花は人のイメージを増幅させるアイテムだと考えられる。花と人間という物理的な境界線を超え、両者とも「生」と「死」、「体」と「魂」の関係性を表現するキャリアとして、同じ絵画空間に存在している生き物である。

今回の展示を通して、彼の独特な世界観を感じることができるでしょう。また、魂の存在とその重さについて新しい認識が生まれるかもしれないのである。ぜひご高覧ください。

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堀越達人個展「Portraits of Someone」

木之庄企畫では4月11日から5月16日まで堀越達人の個展を開催いたします。

堀越達人は85年生まれ、東京を中心に精力的に活動しています。「エリザベス・ペイトンがロックスターや映画俳優を描いた様に、自分もカッコイイと思う、憧れの対象を描いている。ただし想像で。」と語るように、人物たちに特定のモデルはいません。薄くぼかされた淡い色調、細かい描写を拒否した表現からは、抽象的な要素が感じられ、そこに描かれる“どこかのだれか”は鑑賞者に様々な感情を引き起こします。

ポートレートに描かれる人物たちは、平面的で線的、可愛くてキャッチーです。彼の世代が当たり前のように触れてきたアニメーションやマンガの影響を感じつつも、ただそういった表現とは一定の距離を保っています。モチーフの選択方法や抽象性を感じる絵画空間、ノスタルジーへの憧憬などからは、本人も言及している通り寧ろピーター・ドイグ等ニュー・フィギュラティブの作家と共通点があり、昨今多く見られるようになったアニメ的絵画や、村上隆の延長上の活動をしている作家とは若干違う仕事をしていると言えるでしょう。

ネット世界の拡張により、メディアアートなど新しい表現がどんどん生まれていく現代。そんな中でポートレート絵画という決して新しくはない表現方法で作品を作る彼ですが、今回の展示ではポートレートの持つ普遍性・絵画のメジャー性を改めて感じることができるでしょう。

堀越の特徴とも言えるどこか冷めた表情をした人物のペインティングを中心に、春らしい植物のモチーフが多用された作品を発表いたします。ぜひご高覧ください。

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