展示期間:2016/02/06(土)-02/27(土),11:00-19:00
定休日:日曜,月曜,祝祭日
展示会場:木之庄企畫
住所:東京都中央区八重洲2-8-11 川京ビル2階
オープニングレセプション:展示初日(2016/02/06,18:00-20:00)
鈴木伸吾の制作意図
私の制作は実際の風景を実測し,縮小模型に作りかえるところから始まります.
制作する過程で模型細部に微妙な誤差が追加され再現した模型と実在する物との距離感が私唯一のものになります.
ジオラマは撮影後に壊し,撮影されたイメージは実体を持たない影になり,ある種の遠い感覚を獲得してゆきます.
模型は不完全な存在です.模型をとおして「本物そのもの」へ注目することでより現実を感じ取ることができます.
今回の展覧会Still-life(静物画)では複雑な社会状況の現在の世の中の風景を静物として捉え写し撮ることで見えてくる事柄があるのではないかと考え制作しました.
模型化され写されたイメージからは,意外と単純なステレオタイプの日本の姿が見えてきます.
また模型写真の玩具っぽさ,捕えどころのなさは現在の日本を体現しているのではないでしょうか.
20116.01.17
鈴木伸吾
鈴木伸吾個展「STILL-LIFE」に関して
木之庄企畫では2016年2月6日から2月27日まで鈴木伸吾の個展「STILL-LIFE―While there’s Life, there’s hope―」を開催いたします.1999年開廊以来,はじめて〈写真〉という芸術領野に手を伸ばすことになります.
木之庄企畫は鈴木伸吾のアートに対する哲学のユニークさに共感し,このように個展という形で具現化されました.会場には鈴木伸吾のこれまで制作のみならず,新しく紹介される作品もございます.
本展示のテーマである「STILL-LIFE」は,展示される作品のなかの一つをなしております.鈴木伸吾,曰く.この作品は1937年1月11日発行のアメリカのフォトジャーナリズム誌・LIFEの紙面の下敷にして模型の富士山と桜を配し,下段の英文は憲法九条を謳っています.
以上のことをベースに今回の展示は,副題である「While there’s Life, there’s hope」と付けました.この文章はLIFE誌の経営哲学であると同時に,共和政ローマ期の哲学者・キケロ(Marcus Tullius Cicero,106BC-43BC)が謳った有名な以下の一句であります.
Dum Vita est, spes est. 〈命〉がある限り,希望がある.
STILL-LIFE.それは時に静物画であるいっぽう,品詞を変えるとおもしろいことに命の無さを意味する静物(still life)は「いまだ生きている(still live)」と意味がすべります.このようにしてポジティブであれ,ネガティブであれ,ダイナミックに変わりつつある私たちの世界にLifeがある限り,生きてゆくhopeはあるのではないでしょうか.
来賓のみなさまには,ぜひ鈴木伸吾の世界観を経験し,周りについて立ち止まって考える一時となればご幸甚です.
2016.01.22
木之庄企畫
鈴木伸吾について
1964年に生まれる.東京藝術大学で工芸科を卒業した鈴木伸吾は現在,東京を中心にアジアのアートシーンで活動しています.彼は彼自身の指先で「世界」を作り直すことで,世界のからくりを解りたいといった信念の下,メジャーを手にして実在するコンビニや電車の車内などを実測し,それをある比率で縮小したジオラマを忠実に再現した上で撮影するような作品活動をしています.
木之庄企畫について
木之庄企畫は発表の場を日本に留まらずアジア圏へとプロモーションする事を基軸とし,同時に国内の若手作家の紹介,育成にも力を入れています.創造,変革,成長をキーワードに,未だ見えざるもの,未だ踏みしめざる領域,未知なる次元を目指してさらなる挑戦をし続けます.